「学校に行けない理由を聞いても、本人は『わからない』と言う」。
2026/11/03
お役立ちコラム「学校に行けない理由を聞いても、本人は『わからない』と言う」。
欠席が続くと、友達とのこと、勉強、体調など、どこから確認すればよいのか迷います。本人が理由を言葉にできないまま、日が過ぎていくこともあります。
不登校に至る事情は一つとは限りません。休み始めのきっかけと、今、学校に行きづらさが続いている背景が異なることも考えられます。
理由を急いで当てるのではなく、今わかっていることを次の4つに分けて整理してみましょう。
① 家庭で見た事実:欠席の様子、体調、生活の変化など、実際に見聞きしたこと。
② 本人が話した言葉:本人が口にした言葉を、そのまま記録したもの。
③ 学校で確認できたこと:授業や提出物、教室の状況など、学校から聞いて確かめたこと。
④ まだわからないこと:原因かどうか確認できていない推測や、本人が話していないこと。
「確認できたこと」と「こうかもしれない」を別々にしておけば、学校や相談先に伝える内容を整理しやすくなります。記事の後半では、欠席が続いている場合を想定した記入例を紹介します。
最初に整理できるのは、家庭で見聞きした出来事です。登校時刻が近づくと頭痛や腹痛を訴える、夜に眠れない、課題を開くと手が止まる。そうした様子があれば、いつ起きたかと一緒に短く記します。
例えば「先週は3日欠席した」「朝に腹痛を訴えた日があった」のように、判断を加えない書き方が役立ちます。欠席が続く間に変化したことと、以前から見られたことは、分けておくと振り返りやすくなります。
家で趣味を楽しめているからといって、登校の負担が軽いとは限りません。体調不良が続く場合は、学校の出来事だけに絞らず、小児科などへの相談を考えてください。
子どもが「教室が落ち着かない」「授業がわからない」「提出物が気になる」と話したなら、その言葉を言い換えずに残します。これらは記入方法を説明するための例で、特定のお子さまの発言ではありません。
友達との行き違い、からかい、先生との関係などが背景にある場合も考えられます。しかし、本人が「教室が疲れる」と話したからといって、すぐに友人関係が原因と決めることはできません。
本人が理由を説明できないときは、空欄でも構いません。聞き出すことを目的にせず、話してくれた言葉だけを大切にします。
学校からは、欠席前後の授業、座席や班活動、行事、提出物の量などを確認できます。中学生なら、教科担任制や定期テストによる変化がないか尋ねる方法もあります。
例えば「欠席前に提出物が増えた」と学校に確認できれば、それは一つの情報です。ただし、提出物が不登校の原因だったかどうかは、別に考える必要があります。
学校が把握しているのは、学校で見えた状況の一部です。本人がどのように感じていたかと必ずしも一致しないため、家庭の記録や本人の言葉と並べて見ていきます。
「席替えがあった」は学校で確認できた事実でも、「席替えがつらかったから休んでいる」は確認前の推測です。この違いを「まだわからないこと」の欄に残します。
勉強の遅れが休み始めのきっかけだったのか、欠席が続いてから大きくなった悩みなのかも、すぐには判断できません。「友達がいるから人間関係は大丈夫」といった結論も急がず、今の負担を考える手がかりを集めましょう。
4つの欄は、原因を特定するためのチェックリストではありません。本人や家庭を責めずに、確認できたことと未確認なことを区別するための道具です。
学校で見える情報の限界を考えるため、全国の調査も参考にします。ただし、この数値は目の前のお子さまについて学校が確認した事実ではありません。文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は35万3,970人でした。
不登校児童生徒について学校が把握した状況は、次のとおりです(複数回答)。
| 学校が把握した状況 | 割合 |
|---|---|
| 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった | 30.1% |
| 生活リズムの不調に関する相談があった | 25.0% |
| 不安・抑うつの相談があった | 24.3% |
| 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた | 15.6% |
これらは学校が把握した状況を複数回答で集計したものであり、本人が答えた「不登校の原因ランキング」ではありません。
例えば「やる気が出ない」という状況の裏に、睡眠の問題や対人関係の緊張がある可能性が考えられます。
文部科学省の別の要因分析調査では、いじめ被害を挙げた割合は、教師回答4.2%、不登校の児童生徒本人の回答26.2%でした。
ただし、教師回答は1,424人、本人回答は239人で、回答者数や集計対象が異なります。同じ人数の一対一の回答差として単純比較はできません。
この調査が示唆するのは、学校から見える状況と本人が感じていることに、違いが生じる可能性です。
数値を自分の子どもにそのまま当てはめず、身近な事実と本人の言葉を大切にすることが必要です。

ここでは、欠席が数週間続いている家庭を想定し、4つの欄に書き分ける方法を紹介します。
専門的な記録は必要ありません。紙やスマートフォンのメモに、最初に紹介した4つの欄を用意します。
| 分ける項目 | 記入する内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 家庭で見られた変化 | 見聞きした出来事と日付 | 3週間ほど欠席が続き、朝に腹痛を訴える日や眠れない日がある |
| 本人の言葉 | 本人が実際に話した言葉 | 「教室にいると疲れる」「課題のことが気になる」 |
| 学校で確認したこと | 学校から聞いて確認できた情報 | 欠席前に提出物が増え、座席変更があったと担任に確認した |
| まだわからないこと | 確認できていない点・仮説 | 学習や教室環境、体調のうち何が負担なのかは未確認 |
※上の表は記入方法を示すための架空の例で、実際の指導事例ではありません。
この例では、欠席が続いていることや本人が話した言葉は、確認できた情報です。一方で「座席変更が理由で休んでいる」という考えは、本人に確認できていない推測です。
推測を事実の欄に書かないのがポイントです。
できれば日付を添え、後から思い出して付け加えた内容は、そのように記します。
記録を毎日続ける必要はありません。
本人が嫌がるときに行動を細かく監視したり、話した言葉を無断で周囲に共有したりするための表ではないからです。
必要な範囲で、相談の助けとなる部分だけを使ってください。
記録を読み返すときは、出来事の前後を見ます。
例えば、欠席が続く間に朝の体調が変化した日、課題の話が出たときの様子、学校から聞いた教室の変化などを、前後の出来事と一緒に見てみます。
ただし、繰り返し同じ状況が現れても、それだけで原因が確定したわけではありません。
「朝につらさが出る」という事実と「授業が原因だ」という結論は別のものです。
反対に、学校以外の時間でも体調不良が続くなら、学校の出来事だけに絞らず、医療機関で相談する必要があるかもしれません。
手がかりは診断材料ではなく、次に何を確認するかを考える材料と捉えましょう。
表をすべて埋めることは目的ではありません。
本人が話したくないことや、学校にまだ確認できていないことがあれば、空欄のままで構いません。
言葉を引き出そうと質問を重ねるより、「今は答えなくても大丈夫」と伝え、会話できる機会を待つ方がよい場合があります。
見つかった手がかりから、負担を減らせそうなことを一つ考えてみてください。

4つの欄に記録したからといって、すべての答えを出す必要はありません。まず「今すぐ調整したいこと」と「もう少し確かめたいこと」を分けます。
例えば、朝の体調不良が続くなら休息や受診を検討し、課題への不安が強そうなら学校と量や提出方法を相談する方法があります。教室に入ることが負担なら、過ごす場所や活動への参加の仕方を調整できるか確認します。
何が原因か決まっていなくても、今困っていることに応じて支援を考えられます。登校を再開するかどうかを、その場で決める必要もありません。
本人の安全と負担の軽減を優先し、本人が望まない情報の共有や、細かな行動の監視につながらないようにしましょう。
学校に伝えるときは、家庭で見たことと本人の言葉を分け、確認したい点を一つか二つに絞ると話しやすくなります。例えば、次のような伝え方が考えられます。
「ここ3週間ほど欠席が続いています。朝に腹痛を訴える日があり、本人は『課題のことが気になる』と話しました。ただ、理由はまだわかっていません。欠席前後の課題の量や、教室の様子について教えていただけますか」
これは書き方を示すための架空の文例で、実際の相談事例ではありません。共有する言葉や範囲は、本人の意向に配慮して決めてください。
学校に確かめたいこととして、授業・行事・係活動の変化、教室や休み時間の様子、課題や配布物の受け取り方などが挙げられます。担任と話しにくい場合は、学年主任や養護教諭、スクールカウンセラーなどに相談してみましょう。
学校以外の窓口を使うこともできます。頭痛や腹痛、睡眠の問題は小児科などへ、学校と家庭だけでは相談しづらい場合は自治体の教育相談窓口や教育支援センターへ、困りごとに合わせてつなげます。保護者だけで相談を始められる窓口もあります。
いじめや暴力など安全に関わる心配がある場合や、心身の状態が悪化している場合には、記録を完成させることより安全確保と速やかな相談を優先してください。
欠席日数や休み始めの対応については関連記事で詳しく紹介しています。本記事では、今わかっていることを整理し、必要な相談につなぐ方法を中心に考えました。
「授業がわからない」と本人が話した場合でも、不登校の理由がすべて勉強にあるとは限りません。
今は教科書を開きたくないのか、特定の単元が難しいのか、テストの結果が不安なのか。
負担を分けることで、必要な支援が見えやすくなります。
学習を始められそうなら、今の学年の問題で理解度を確認し、必要に応じて前の学年に戻る方法があります。
Preステップオンラインでは、まず対話を通してお子さまの気持ちと学習状況を整理し、理解度や目標に合わせた単元を考えています。
無理に学校の進度へ追いつかせるのではなく、小さな「わかった」を積み重ねることを大切にしています。
不登校になる背景には、友人関係、学習、心身の状態、学校の環境などが関わることがあります。
一つの理由に決められず、本人にも説明できないことがあるでしょう。
そんなときは、家庭で見た変化、本人の言葉、学校で確認したこと、まだ不明な点を分けて整理してみてください。
記録は原因を断定するためでなく、相談の内容を具体的にするためのものです。
必要な支えを考える手がかりとして活用しましょう。
学習に対する不安があるとき、すぐに勉強を始めるかどうかを決める必要はありません。
Preステップオンラインでは、講師との会話から関係を作り、理解度や目標を確かめながら、学ぶ内容を一緒に考えています。
学習支援の考え方や授業の進め方を詳しく知りたい方は、サービスの流れをご覧ください。

原 匠(はら たくみ)
Preステップオンライン 統括責任者。不登校や登校しぶり、学習の遅れなど、子ども一人ひとりの状況に合わせた学習支援に携わる。
学習への取り組み方やモチベーションなど、いま気になっていることを相談できます。
お子さまの今のつまずきの状況を確認し、理解度にあわせた授業で、「わかった」「できた」を実感できます。
学年や学校進度にあわせた計画ではなく、今のお子さまに必要な単元を選んだ学習計画をご提案します。