学校を休み始めたとき、まず知ってほしいこと
「学校を数日休んでいるけれど、もう不登校なの?」「不登校って何日から?」2学期が始まった直後など、これまで学校へ通っていたお子さまが急に休み始めると、このような疑問を持つ親御さまもいると思います。
不登校について調べれば、さまざまな情報が出てきます。情報を集めることで安心できることもあれば、「このまま学校へ行けなくなったらどうしよう」「今の対応が間違っていたらどうしよう」と、調べるほど不安が大きくなることもあるでしょう。
そんなときに、まず知っていただきたいことがあります。「何日休んだか」だけで、お子さまの今の状態がすべてわかるわけではありません。
この記事では、「不登校は何日から?」という疑問への答えを確認したうえで、Preステップオンラインでお子さまや親御さまと関わってきた経験から、学校を休み始めたときにどのようなところを見ていけば良いのかを紹介します。
ここに書いてあることも、すべてのお子さまに共通する一つの正解ではありません。「こういう考え方もあるんだ」と、これからの動きを考える参考にしてください。
不登校は何日から? 文部科学省では年間30日以上が基準
まず、「何日休んだら不登校なのか」を確認しておきましょう。
文部科学省では、年度間に連続または断続して30日以上欠席した児童生徒について理由別に調査しており、そのうち、何らかの心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって登校しない、または登校したくてもできない状況にある児童生徒のうち、病気や経済的な理由によるものを除いたものを「不登校」としています。
また、この30日間は連続して休んでいる必要はありません。年間を通じた欠席日数の合計で見られます。
そのため、「30日」という数字を知ると、「まだ数日だから大丈夫」「30日を超えたら不登校になってしまう」と考えることもあるかもしれません。
ただ、年間30日以上という数字は、不登校を把握する際の調査上の基準です。ご家庭でお子さまと向き合うときに、「30日になるまでは何もしなくて良い」「30日を超えた瞬間から問題になる」と考える必要はないと思います。
例えば、朝になると「学校へ行きたくない」と言うようになったり、遅刻や早退が増えたり、教室には入れなくても保健室や別室なら過ごせたりすることがあります。行ける日と行けない日が交互に続くこともあるでしょう。
ただし、遅刻したり、保健室や別室で過ごしたりするようになったことを、すぐに「悪くなった」と考える必要もありません。今のお子さまにとって、その過ごし方が一番取り組みやすい方法なのかもしれないからです。
「不登校なのか、まだ不登校ではないのか」と名前を付けることを急ぐよりも、その前後で、お子さまにどのような変化があったのかにも目を向けてみてください。
不登校の休み始めはどう対応する? 日数だけでは見えない小さな変化
では、不登校や行き渋りの休み始めには、どのようなところを見れば良いのでしょうか。ここにも、「これを確認すれば大丈夫」という一つのチェックリストがあるわけではありません。 お子さまによって状況が違うからです。
意識してほしいのは、ふだんと比べて、何か変わったところがないかということです。
例えば、いつもはあまり話をしないお子さまが、その日は自分から話をしてきた。ふだんは顔を見て話さないのに、今日は目を見て話した。学校について話したときだけ、少し表情が変わった。反対に、以前より会話が少なくなった。こうした変化が見られることもあります。
一つひとつは、とても小さなことに見えるかもしれません。ただ、毎日お子さまを見ている親御さまだからこそ気がつく変化があります。
「今日は学校へ行けた」「今日も休んだ」という結果だけを見るのではなく、「昨日と今日で、何か違ったところはなかったかな」という視点も持ってみてください。
大きな変化だけが前進ではありません。
理由を知りたい。でも、急いで答えを決めなくても良い
お子さまが学校を休み始めれば、『不登校の原因は何だろう』と理由を知りたいと思うのは自然なことです。「友だちとうまくいっていないのかな」「勉強についていけなくなったのかな」「先生との関係かな」と、原因がわかれば何かしてあげられるかもしれないと考えると思います。
ただ、「学校へ行かないことはダメなこと」という前提で会話を進めたり、「○○が理由なんだよね」と先に答えを決めたりすると、お子さまが本当の気持ちを話しにくくなる場合があります。
すぐに原因を聞き出すことよりも、お子さまが話しやすい環境、タイミング、言葉を探していくという考え方もあります。そして、その方法も一人ひとり違います。
どれだけ考えても正解が見つからないこともあります。反対に、誰かから聞いた方法を試したら、お子さまには合っていたということもあります。
親御さまがお子さまを見ながら、「今はこれを試してみようかな」と思ったことをしてみる。そして、そのあとの反応を見る。その繰り返しから、その家庭に合った関わり方が見えてくることもあります。
不登校の子どもへの親の対応で、まず避けたい関わり方
学校を休み始めると、親御さまも焦ります。「明日は行かせたほうが良いのかな」「このまま休ませたら戻れなくならないかな」「勉強させなければ遅れてしまう」と、先のことを考えるほど、「何かをさせなければいけない」という気持ちになることもあるでしょう。
不登校や行き渋りのお子さまへの親御さまの対応として、一度意識してほしいことがあります。無理やりさせること、親御さまだけで決めつけること、ほかのお子さまと比べることです。
親御さまがすべての答えを決めてしまうと、お子さま自身が「自分はどうしたいのか」を考える機会が少なくなってしまうことがあります。
また、同じ学年のお子さまでも状況は一人ひとり違います。「同じ不登校だった子は、これで学校へ戻った」という方法が、目の前のお子さまにも合うとは限りません。
インターネットの記事も同じです。この記事についても、「ほら、ここにこう書いてあるからこうしなさい」と説得する材料にするのではなく、一つの考え方として使ってください。
不登校で学校を休んだ日はどう過ごす? 「今のゴール」から考える
「不登校で学校を休んでいる日は、家でどう過ごせば良いですか?」これも悩みやすいところだと思います。
勉強する、外へ出る、好きなことをする、ゆっくり休む。どれか一つが、すべてのお子さまに共通する正解になるわけではありません。一つの考え方として、今、お子さまが何を目指しているのかを確認してみてください。
例えば、お子さま自身も学校へ戻ることを目標にしているのであれば、学校の授業がある時間に家庭学習をしてみる方法があります。今は外へ出ること自体が難しく、「まず外に出られるようになりたい」と考えているのであれば、人の少ない時間帯に一緒に外へ出てみる方法もあります。
ここで大切なのが、お子さま自身のゴールを確認することです。親御さまにとって「学校へ戻る」がゴールだとしても、お子さまにとっては、そのゴールがまだ何段階も先にあるかもしれません。
「まず外に出てみたい」「少し勉強をしてみたい」「朝起きられるようになりたい」。今はそこがゴールでも良いと思います。
文部科学省も、不登校への支援では「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、本人が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があるとしています。
お子さま自身が「自分はどうしたいのか」を考えることが、一歩踏み出すきっかけになる場合があります。
もし「わからない」と言われたら、親御さまの方からいくつかの選択肢を出してみても良いでしょう。そのときには、「なぜこの選択肢を出したのか」も一緒に伝えてみてください。
その上で、お子さま自身が考えて選ぶ。何を選んだかだけではなく、自分で考えて選ぶ過程も大切です。
不登校でもゲームはできる? それだけでお子さまの状態を判断しない
学校を休んでいるお子さまが、家ではゲームをしたり動画を見たりして楽しそうにしている。そんな様子を見ると、「そんなに元気なら学校へ行けるんじゃない?」と思うこともあるでしょう。
ただ、家で元気そうに見えることと、学校へ行けることが必ずしも同じとは限りません。
何か心の中に抱えているものがあり、ゲームや動画に集中することで、一時的に学校などのことを考えないようにしている可能性もあります。一方で、本当に少し休みたかったということもあるかもしれません。
だからこそ、「ゲームができるなら学校にも行ける」「ただ遊びたいだけだ」と先に決めつけないことです。
休んだ日にどのように過ごしているのかも、お子さまの状態を見る材料の一つにしながら、話せそうなタイミングがあれば会話してみてください。一度の会話ですべてを聞き出す必要はありません。
不登校で勉強が遅れたら? あとから学び直すことはできます
不登校や行き渋りで学校を休む日が増えると、勉強の遅れも心配になると思います。
ただ、遅れた部分をあとから学び直していくことはできます。
そのため、ただ「遅れているから勉強しなさい」と急ぐだけではなく、どうすれば、お子さま自身が学ぶことに前向きになれるのかを考えてみてください。
何が学ぶきっかけになるかも、一人ひとり違います。成績を上げたいからかもしれません。行きたい高校が見つかったことかもしれません。先生との会話が楽しいからかもしれません。今までわからなかった問題がわかるようになった経験かもしれません。
最初に「どうやったら勉強させられるか」を考えるのではなく、「今、この子は何を求めているのかな」と確認するところから始めても良いと思います。
「自分から机に向かった」も、大切な変化です
Preステップオンラインを利用しているご家庭でも、変化の現れ方はさまざまです。
学校の授業に出られていない時期があり、オンライン授業も最初は親御さまから声をかけてもらわないと参加できなかった中学生のお子さまがいました。授業では、いきなり勉強だけを始めるのではなく、先生が授業前に何気ない会話をしながら、お子さまが取り組みやすい雰囲気を作っていきました。
すると、いつの間にか、自分から時間になったら授業を受けるようになり、授業がある日は自分から机へ向かうようになりました。
毎日学校へ行けるようになった、テストで突然100点を取った。そんな大きな変化ではありません。でも、「言われないと動けなかった」から「自分から準備した」へ変わった。 それも、そのお子さまにとっては大切な変化です。
学校へ行ったかどうかだけではなく、昨日までとは少し違う反応にも目を向けてみてください。
「不登校かどうか」を決めるより、目の前のお子さまを見てみる
「不登校は何日から?」と思ってこの記事までたどり着いたこと自体、親御さまがお子さまのことを考え、何かできることはないかと動いた一つの行動だと思います。
文部科学省の調査では年間30日以上という基準があります。でも、ご家庭でお子さまと向き合うときに、「あと何日で30日」と数えることだけが大切なのではありません。
お子さまによって、今の状態も違います。学校を休んでいる背景も違います。目指したいゴールも違います。だからこそ、この記事にも「これをすれば必ず正解」という答えはありません。
「こういう考え方もあるんだ」「これは一度試してみても良いかもしれない」。そのくらいの気持ちで、これからの動きを考える参考にしていただければ幸いです。
そして、できそうであれば、この記事をお子さまと一緒に読んでみるのも一つの方法です。
「ほら、ここにこう書いてあるからこうしなさい」と説得するためではありません。「こういう考え方もあるみたいだけど、どう思う?」「今の自分に近いところってある?」と話すことで、親御さまとお子さまの認識を共有したり、本音を聞いたりするきっかけになるかもしれません。
不登校への対応に迷ったら、第3者に話してみる
人に話すことで、初めて見えてくることがあります。また、お子さまにとっても、家族や学校とは違う新しい人や環境と関わることで、これまでとは違った変化が現れるかもしれません。
Preステップオンラインでは、一人ひとりのお子さまのペースにあわせながら、オンラインでの学習やコミュニケーションをサポートしています。
「相談しなければ」と深く考えなくても大丈夫です。「こういう場所もあるんだ」と知るきっかけとして、Preステップオンラインを見ていただければと思います。
原 匠(はら たくみ)
Preステップオンライン 統括責任者。15年以上にわたり、不登校や行き渋り、発達特性、完璧主義などによる学習の悩みを抱える多くのお子さまとその親御さまのサポートに携わる。教育のプロとして、単なる知識の詰め込みではない「失敗を歓迎し、一人ひとりの安心できる場所となるコミュニケーション重視の家庭学習システム」を提唱し、数多くの家庭の悩みを解決に導いている。