「学校にも行かず、家でも勉強しない」と心配になっていませんか?
「学校を休んでいるうえに、家でもほとんど勉強していない」
「ゲームやスマホはできるのに、勉強は全然しない」
「このまま学習が遅れていったらどうしよう」
不登校の子どもの様子を見ていると、このように心配になる親もいると思います。
勉強は、できるのであれば少しずつ取り組んだ方が良いでしょう。しかし、勉強させることを急いだ結果、子どもの精神的負担がさらに大きくなってしまうことは避けたいところです。
大切なのは、いきなり勉強量を増やすことではありません。
まずは、子どもが無理なく勉強を始められる環境を整えることから考えてみましょう。
この記事では、不登校の中学生が勉強しない背景や、親が避けたい関わり方、勉強を再開するときの進め方について紹介します。
不登校で勉強しないのは「怠け」とは限らない
子どもが家で過ごしているのに勉強していないと、
「時間はあるはずなのに」
「少しくらい勉強できるのでは」
と思うこともあるかもしれません。
ただ、「勉強しない」という行動だけを見て、怠けていると決めつけないことが大切です。
Preステップオンラインで子どもたちと関わっていると、特に次のような背景が見られます。
勉強への苦手意識が強くなっている
分からない問題が増えたり、以前から勉強でうまくいかない経験が続いたりすると、勉強そのものへの苦手意識が強くなることがあります。
「どうせ分からない」
「やってもできない」
と思っている状態では、机に向かうこと自体が大きなハードルになります。
その場合は、今の学年の内容を無理に進めるよりも、本人が「これならやれそう」と思える教科や単元を探すことから始めた方が取り組みやすいことがあります。
無気力で何かに取り組むこと自体が面倒になっている
勉強だけではなく、何かを始めることそのものを「めんどくさい」と感じている子どももいます。
この状態で「勉強しなさい」と繰り返しても、すぐに行動へ移せるとは限りません。
まずは、今どのくらいのことなら取り組めそうなのかを見ながら、負担を小さくしていくことが必要です。
ゲームやスマホができても勉強できるとは限らない
「ゲームは何時間もできるのに、どうして勉強は5分もできないの?」
そう感じることもあるでしょう。
ただ、好きなことに取り組めることと、苦手意識や不安がある勉強に取り組めることは別に考える必要があります。
ゲームができているからといって、勉強する余力も同じようにあるとは限りません。
勉強しない状態が長く続くとどうなる?
今すぐ無理に勉強を始めさせる必要はありません。
一方で、勉強から長く離れていると、学習面で気になることも出てきます。
学習の遅れが大きくなる
学校では授業が進んでいくため、勉強していない期間が長くなれば、学習していない単元も増えていきます。
「今さら始めても無理」と感じやすくなる
勉強から離れた時間が長くなると、実際の学習量以上に、
「もう遅い」
「今からやっても追いつけない」
と本人が感じることがあります。
だからこそ、再開するときには「全部取り戻そう」ではなく、今日できることから始めることが大切です。
【関連記事】
不登校で遅れた勉強に追いつくには? 学び直しの進め方と親ができること【中学生】
「勉強しなさい」と言う前に親が確認したいこと
「勉強しなさい」と言う前に、まず確認してほしいことがあります。
それは、子どもが勉強を始めることに何を不安に感じているのかです。
「何が不安?」と聞いても、すぐ答えを求めない
たとえば、
「勉強を始めるとしたら、何か不安なことある?」
と聞いてみます。
ただし、「分からない」「別に」と返ってきたときに、その場で答えを出させる必要はありません。
一度話を終えて、また話せそうなタイミングを待っても良いでしょう。
聞くことと、答えを求めることは別です。
毎日のように勉強の話をしない
「今日は勉強する?」
「そろそろやったら?」
「昨日もやってなかったよね」
毎日のように勉強について確認されると、子どもにとって勉強だけでなく親との会話そのものが負担になる場合があります。
本人の様子を見ながら、話せそうなタイミングを選びましょう。
「今は勉強したくない」なら関係づくりを優先する
子どもがはっきりと、
「勉強したくない」
「今はやりたくない」
と言っていることもあります。
そのようなときは、何とか勉強へ誘導しようとせず、まず勉強以外の会話や関係づくりを優先する方法もあります。
不登校の子どもが勉強を始めるための5つの工夫
子どもが少し勉強を始められそうになったら、いきなり学校と同じ量を求めるのではなく、始めるためのハードルを下げます。
1.「これならやれそう」と思えるところから始める
最初に選ぶのは、今の学年の教科でなくても構いません。
本人が「これならやれそう」と思える教科や単元を選びます。
必要であれば前の学年まで戻ります。
「中学2年生だから中学2年生の内容をやる」と決めるより、まず取り組めるところを見つけることが大切です。
2.勉強する時間を短くする
久しぶりに勉強する子どもに、最初から長時間を求めると負担になりやすくなります。
5分や10分など、「これくらいならできそう」と思える時間から始めても良いでしょう。
3.取り組む量を減らす
時間だけでなく問題数も減らします。
最初は1問でも構いません。
大切なのは、たくさん解くことよりも、「始められた」という経験をつくることです。
4.間違えても大丈夫と思える環境をつくる
勉強への苦手意識が強い子どもほど、
「間違えたくない」
「できないと思われたくない」
という不安を持っていることがあります。
できなかったことを責めるよりも、まず取り組めたことを認めます。
5.第三者と一緒に始める
家庭でなかなか勉強を始められない場合は、親だけで何とかしようとしなくても構いません。
実際にPreステップオンラインでも、第三者と一緒に始めたことがきっかけで学習へ向かえるようになる子どもがいます。
第三者であれば、
・親から言われるよりプレッシャーを感じにくい
・勉強する時間として気持ちを切り替えやすい
・分からないことを聞きやすい
誰かと一緒なら取りかかりやすい
と感じることがあります。
いきなり問題を解くだけではなく、勉強以外の会話をしながら関係をつくることも大切です。
勉強を再開したら、まず「続けること」を目標にする
勉強を始められたからといって、すぐに点数や学習量を目標にする必要はありません。
本人にまだ明確な目標がない場合は、短時間でも学習を安定して続けられる状態を最初の目標にします。
「自分から始めた」「少し続けられた」を認める
モチベーションが上がってきたときに見られる変化の一つが、
・自分から机に向かう
・少しでも続けられるようになる
ことです。
「今日は何ページできた?」だけではなく、
「自分から始められたね」
「今日も少しできたね」
と、行動そのものを見てみてください。
数日できなくても失敗ではない
一度勉強を始めても、毎日続くとは限りません。
数日空いてしまったからといって、
「やっぱり続かなかった」
と考える必要はありません。
できた日があったことを認めて、また無理のない量から再開します。
学習量を増やしたあとに続かなくなった場合も、いったん量を戻して構いません。
慣れてきたら本人の目標に合わせて学習を広げる
短時間でも安定して続けられるようになったら、次の目標を考えます。
学習時間や量を増やす目安は、
今の量なら負担なく続けられていることと、
本人の目標が具体的になってきたことです。
選択肢を出して本人に聞く
いきなり、
「次は何を目標にする?」
と聞かれても答えにくい子どももいます。
たとえば、
「次のテストで点数を上げたいのと、まず勉強する習慣をつけたいのだったら、どっちを目指したい?」
と選択肢を出してみる方法があります。
ここでも、その場ですぐ答えを求める必要はありません。
考える時間をつくりましょう。
本人の目標が決まったら、
・テストを受ける
・点数を上げる
・家庭学習を続ける
・高校受験へ向けて準備する
など、その目標に合わせて次に取り組む内容を決めます。
高校受験について考え始めた場合はこちらの記事も参考にしてください。
内申点が気になる場合はこちらで解説しています。
親だけで勉強させようとしなくてもいい
親も子どもも、
「勉強した方がいいとは思うけれど、何から始めればいいか分からない」
という状態になることがあります。
そのようなときは、学校や塾などの第三者へ相談することも一つの方法です。
特に、本人も親も何から始めればよいか分からなくなっているときは、第三者と一緒に整理してみても良いでしょう。
第三者が入った後は、親が毎日の勉強を細かく管理しすぎないことも大切です。
「今日は何分やった?」
「ちゃんとやった?」
と毎日確認するよりも、できたことを認めながら見守ります。
学習面を第三者と一緒に考えることで、親子の会話すべてを「勉強の管理」にしなくても済むようになります。
まとめ|勉強させることを急ぐより、始めやすい環境をつくろう
不登校で子どもが勉強していないと、親として焦ることもあると思います。
勉強は、できるのであれば少しずつ取り組んだ方が良いでしょう。
ただ、無理に勉強させて子どもの負担を大きくするより、まず無理なく始められる環境を整えることが大切です。
勉強への苦手意識や不安があるなら、
不安を聞く
→ 本人がやれそうな内容を探す
→ 短い時間・少ない量から始める
→ できたことを認める
→ 短時間でも続ける
という順番で考えてみてください。
そして続けられるようになったら、本人が何を目指したいのかを一緒に考えます。
最初から学校との差をすべて埋める必要はありません。
「自分から少しやってみよう」と思える状態をつくることも、学び直しの大切な一歩です。
何から勉強を始めればいいか分からない方へ
「学校の勉強に追いつけていない」
「勉強への苦手意識が強くなっている」
「親子だけでは何から始めればいいか分からない」
と悩んでいる場合は、第三者と一緒に考える方法もあります。
Preステップオンラインでは、まず勉強を始めるにあたって子どもが何を不安に感じているのかを確認します。
そのうえで、できる問題や本人が「これならやれそう」と思える教科・単元から始め、短時間でも安定して学習を続けられる状態を目指します。
著者情報
原 匠(はら たくみ)
Preステップオンライン 統括責任者。
15年以上にわたり、不登校や行き渋り、発達特性、完璧主義などによる学習の悩みを抱える子どもと親のサポートに携わる。
「失敗を歓迎し、一人ひとりの安心できる場所となるコミュニケーション重視の家庭学習システム」を提唱し、子どもが自分のペースで学習へ向かえる環境づくりを大切にしている。