「保健室には行けているけれど、このままでいい?」と悩んでいませんか?
「学校には行けるけれど、教室には入れない」
「毎日保健室で過ごしているけれど、このままでいいのかな」
「授業に出ていないから、勉強や成績が心配」
子どもが保健室登校をしていると、学校に行けていることに安心する一方で、この先どうすればよいのか迷う親もいると思います。
特に中学生になると、定期テストや成績、高校受験も気になってくるでしょう。
ただし、保健室登校を「早く教室に戻るための途中段階」とだけ考える必要はありません。
大切なのは、他の子と比べることではなく、今の過ごし方によって本人にどんな小さな変化が起きているかを見ることです。
この記事では、保健室登校の意味や出席・成績の考え方、学習が遅れている場合の対応、親ができることについて紹介します。
保健室登校とは?
保健室登校とは、教室ではなく、主に学校の保健室で過ごす登校の形です。
国立特別支援教育総合研究所では、常時保健室にいる場合だけでなく、特定の授業には参加できても、学校にいる間は主として保健室で過ごす状態なども保健室登校として説明しています。
そのため、
「朝から帰るまでずっと保健室にいる」
という形だけではありません。
一部の授業には参加する、数時間だけ学校にいるなど、過ごし方は子どもの状態や学校によってさまざまです。
保健室登校を選ぶ理由は一人ひとり違う
保健室登校をしている理由も、一人ひとり異なります。
たとえば、
「久しぶりに教室へ入ったら、同級生にどう思われるだろう」
と周囲の視線が気になり、教室には入りにくくても、保健室なら学校へ行けることがあります。
本人が何を不安に感じているかを見ることが大切です。
保健室登校にはどんな良い面がある?
保健室登校には、子どもによっていくつかの良い面があります。
・学校とのつながりを保ちやすい
・教室より安心して過ごせる
・本人のペースで学校と関われる
・養護教諭や先生と話せる
といったことです。
教室には入りにくくても、
「保健室までなら行けた」
「先生と少し話せた」
という変化が本人にとって大きな一歩になる場合もあります。
良い変化が見られたときに、すぐ「次は教室だね」と次の段階を求めないことも大切です。
まずは、その変化自体を認めてみましょう。
保健室登校で気をつけたいこと
一方で、保健室登校をしていれば必ず良いとは限りません。
授業に出られず学習が遅れる可能性がある
保健室で過ごす時間が増えると、通常の授業に参加できないことがあります。
そのため、学校の授業に比べて学習が遅れる可能性があります。
特に中学生では、前の単元の理解が次の単元につながる教科も多いため、分からない内容が増えると勉強への苦手意識が強くなることがあります。
保健室へ行くこと自体が負担になる日もある
「教室には行かなくていいから、せめて保健室には行こう」
と考えることがあるかもしれません。
ただ、本人にとっては学校へ行くこと自体が大きな負担になっている日もあります。
保健室登校ができた日とできなかった日を比べて、できなかった日を「後退」と考えないことが大切です。
その日の体調や気持ちを見ながら考えましょう。
教室復帰を急かされると負担になることがある
一度教室へ入れたからといって、翌日も同じようにできるとは限りません。
「昨日できたんだから今日もできるよ」
と求めることが、本人の負担になる場合もあります。
一度教室に入ったあと、次は保健室へ戻ったとしても、それを失敗や後戻りと捉える必要はありません。
保健室登校は出席扱いになる?
親にとって特に気になるのが、出席の扱いです。
保健室登校をしている場合の出欠の記録や、遅刻・早退などの扱いは、学校で確認しておくことが大切です。
文部科学省の不登校児童生徒への支援に関する通知でも、欠席だけでなく、遅刻・早退・保健室登校・別室登校などの状況を踏まえて、本人の状況を把握しながら支援することが示されています。
特に確認しておきたいのは、
・どのような場合に出席として記録されるか
・遅刻・早退の扱い
・どのくらいの時間、保健室で過ごせるか
などです。
出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)
保健室登校中のテスト・成績はどうなる?
出席できていても、
「授業を受けていないけれど、通知表はどうなる?」
「定期テストは教室で受けないといけない?」
と不安になることがあります。
定期テストは受け方を学校と相談する
定期テストを受けたい気持ちはあっても、通常の教室へ入ることが難しい場合は、
・保健室で受けられるか
・別室で受けられるか
・時間をずらせるか
など、本人が受けやすい方法を学校へ相談してみましょう。
無理に受けさせることは避けたいですが、本人が「受けてみたい」と考えているなら、その一歩を取りやすい環境を整えることが大切です。
出席と成績は分けて考える
学校に行けていることと、成績評価に必要な材料がそろっていることは同じではありません。
テスト、提出物、授業での学習状況など、成績をどのように評価するかは学校へ確認する必要があります。
文部科学省は、不登校児童生徒が欠席中に行った学習についても、一定の要件のもとで、その成果を成績評価に反映できることを明確にしています。
出典:文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)
内申点について詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。
不登校だと内申点はどうなる?高校受験への影響と今からできること【中学生】
授業に出られず勉強が遅れているときは?
保健室登校を続ける中で、
「授業に出られていないから、かなり遅れている」
と焦ることもあると思います。
必要なら前の学年まで戻る
中学生だからといって、現在の学年の内容から始める必要はありません。
どこでつまずいているかを確認し、必要であれば前の学年の内容まで戻ります。
本人が、
「これならできそう」
と思えるところから始めることで、勉強への負担を小さくできます。
学校へ行った日は勉強まで求めないこともある
保健室登校をした日は、学校へ行くだけでかなり疲れている場合があります。
その日に、
「今日は学校にも行けたから、帰ったら勉強もしよう」
と求めるより、まず休むことが必要な場合もあります。
家庭学習をするかどうかは、その日の疲れ具合や本人の様子を見ながら考えましょう。
本人の目標に合わせて学習内容を決める
学習の目標は1つではありません。
・まず短時間でも勉強を続けたい
・次の定期テストを受けたい
・苦手な単元を学び直したい
・高校受験に向けて準備したい
など、本人の状況によって変わります。
遅れた勉強の進め方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
不登校で遅れた勉強に追いつくには?学び直しの進め方と親ができること【中学生】
教室に戻ることを急がなくてもいい
保健室登校をしていると、
「いつ教室に戻すべき?」
と考えることもあります。
ただ、教室へ戻ることだけをゴールにしなくても構いません。
本人から、
「この授業なら出てみたい」
「少し教室に入ってみようかな」
という気持ちが出てきたら、その気持ちに合わせて方法を考えます。
たとえば、
・入りやすい授業だけ参加する
・一部の時間だけ教室へ行く
・疲れたら保健室へ戻れるようにする
・事前に担任や養護教諭へ相談する
といった方法があります。
大切なのは、本人が動いてみようと思った一歩を、次の義務に変えないことです。
今の保健室登校が本人に合っているかを見る
保健室登校を続けること自体を目的にする必要もありません。
判断するときは、本人にどんな変化が出ているかを見ます。
良い変化があるなら、すぐ次の段階へ進ませようとせず、その変化を認めましょう。
反対に、
・保健室へ行くこと自体が以前より負担になっている
・学校へ行ったあと強く疲れるようになった
・本人の不安が強くなっている
などの変化が見られるなら、今の通い方や過ごし方を見直すタイミングかもしれません。
続けるか、教室へ行くか、休むかのどれか1つを正解にするのではなく、本人にとって良い変化があるかを見ることが大切です。
親ができることは「他の子と比べず、小さな変化を見る」こと
同級生が毎日教室で授業を受けていると、
「うちの子も早く戻らないと」
と思うこともあるでしょう。
ただ、子どもの状態は一人ひとり違います。
他の子と比較するより、
「以前より学校の話をできるようになった」
「今日は自分から保健室へ行こうとした」
「先生と話せた」
「少しだけ授業に参加できた」
など、その子自身の小さな変化を見ていくことが大切です。
声をかけるときも、
「今日は教室に入れた?」
「何時間勉強した?」
と結果だけを聞くのではなく、
「今日はどうだった?」
と本人がどう感じたかを聞いてみてもよいでしょう。
学校と相談するときに確認したい5つのこと
保健室登校の具体的な運用は学校によって異なります。
そのため、親だけで判断せず、本人の希望も確認しながら、担任や養護教諭などと相談しておくことが大切です。
確認しておきたいのは次の5つです。
出席の扱い
どのような場合に出席・遅刻・早退になるのか。
定期テストの受け方
保健室や別室などで受けられるか。
保健室での過ごし方
どの時間帯に利用でき、誰が対応するのか。
学習課題の受け取り方
授業に出られない場合、教材や課題をどのように受け取るか。
教室に入る場合の支援
一部の授業に参加したい場合、どのような形なら可能か。
学校ごとに対応が異なるため、一般的な情報だけで決めず、実際の在籍校へ確認しましょう。
まとめ|保健室登校を「教室へ戻れたか」だけで見ない
保健室登校は、教室には入りにくい子どもが学校と関わる1つの方法です。
学校とのつながりを保てたり、安心して過ごせる場所になったりする一方で、保健室へ行くこと自体が負担になる日もあります。
だからこそ、
「教室に戻れたか」
「毎日行けたか」
これだけで判断しないことが大切です。
他の子と比べず、本人にとってどんな小さな変化が起きているかを見てみましょう。
良い変化があれば、その変化をまず認める。
悪い変化があるなら、今の通い方が合っているか見直す。
その時の子どもに合った学校との関わり方を、本人と一緒に考えていくことが大切です。
保健室登校中の勉強の遅れが気になっている方へ
「授業に参加できず、勉強が遅れている」
「何から学び直せばいいか分からない」
「学校に行くだけで疲れて、家庭学習まで進まない」
と悩んでいる場合は、学校の進度だけに合わせず、今の理解度から学習を考える方法もあります。
Preステップオンラインでは、一人ひとりの現在の学習状況や目標を確認し、必要に応じて前の学年まで戻りながら学習を進めています。
点数だけをゴールにせず、本人が今どこからなら無理なく取り組めるのか、次に何を目指したいのかを一緒に考えます。
著者情報
原 匠(はら たくみ)
Preステップオンライン 統括責任者。
15年以上にわたり、不登校や行き渋り、発達特性、完璧主義などによる学習の悩みを抱える子どもと親のサポートに携わる。
「失敗を歓迎し、一人ひとりの安心できる場所となるコミュニケーション重視の家庭学習システム」を提唱し、子どもが自分のペースで学習へ向かえる環境づくりを大切にしている。