不登校の言い換え・別の言い方は?
「本人の前で“不登校”と言っても良いのかな」
「もう少しやわらかい言い方はないだろうか」
お子さまが学校へ行くことが難しくなると、親御さまが言葉の選び方に迷うことがあります。「五月雨登校」「行き渋り」など、似た言葉を見かけて、どれがわが子に当てはまるのか調べている方もいるかもしれません。
ただ、不登校の言い換えには、すべてのお子さまに共通する一つの正解があるわけではありません。
Preステップオンラインでは、「不登校」という言葉を使うかどうかを考えるとき、普段その言葉が本人の周りでどのくらい使われているか、本人自身が自分の状態をどのように認識しているかも確認します。
実際には、本人に対して「学校に行くのが難しい」「今は学校に行きづらい」という表現を使うこともあります。
大切なのは、よりポジティブな言葉を探すことだけではなく、その言葉を本人がどう受け取るかを考えることです。
「不登校」「五月雨登校」「行き渋り」は同じ意味?
似た言葉がいくつもありますが、すべて同じ意味ではありません。
不登校
文部科学省の問題行動等調査では、不登校について、病気や経済的理由を除き、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって登校しない、または登校することができず、原則として年度間に30日以上欠席している児童生徒という基準が使われています。一方、教育機会確保法では「相当の期間学校を欠席する児童生徒」という規定になっており、30日という数字だけでお子さまへの支援を考えるものではありません。
五月雨登校
「五月雨登校」は、学校へ行ける日と行けない日を繰り返している状態を表す言葉として、教育や不登校支援の場などで使われています。
ただし、「何日休んだら五月雨登校」というように数字だけで判断するより、実際の登校状況や本人の様子を見ることが大切です。
五月雨登校について詳しく知りたい方は、
「【五月雨登校】GW明けの行き渋り…親が意識したい3つの接し方」
もあわせてご覧ください。
行き渋り
「行き渋り」は、朝になると学校へ行くことを嫌がる、登校前になると気持ちが変わるなど、学校へ向かうことに難しさが出ている状態を表すときに使われる言葉です。
保健室登校・別室登校
教室ではなく、保健室や学校内の別の部屋で過ごす方法もあります。文部科学省の不登校児童生徒の実態調査でも、別室で過ごした経験のある児童生徒について、保健室・相談室・専用教室などさまざまな場所が使われていることが確認されています。
登校拒否
「登校拒否」という言葉も見かけることがあります。ただ、本人が意識的に学校を拒否しているように受け取られる場合もあるため、Preステップオンラインでは、本人について話すときには「学校に行くのが難しい」など、現在の状態を表す言い方をすることがあります。
不登校を「ポジティブ」に言い換えた方が良い?
検索すると、「不登校を前向きに言い換えたい」という情報も多く出てきます。
もちろん、本人やご家庭が使いやすい言葉が見つかれば、それを使う方法もあります。
ただ、無理にポジティブな名前をつける必要はありません。
「この言葉なら良い」と決めるより、本人が今どんなふうに自分の状況を捉えているのかを確認してみてください。
言葉に当てはめる前に「今どんな状態か」を見る
「うちの子は五月雨登校ですか?」
「これは行き渋りですか?」
そう考えることもあると思います。
ただ、言葉を決めても、それだけで今後の対応が決まるわけではありません。
Preステップオンラインでは、登校頻度、朝の様子、家での過ごし方、学習状況、親子の会話、本人の気持ちなどをまとめて見ながら、お子さまが今どのような状態にあるのかを考えます。
同じ「五月雨登校」と呼ばれる状態でも、お子さまによって背景や気持ちは異なります。そのため、対応にも正解があるわけではありません。
対応を考えるときは「本人は学校に行きたい?」を確認する
今のお子さまの状態を見たうえで、もう一つ大切にしたいのが、本人が学校に行きたいと思っているかどうかです。
ここによって、この先に目指すゴールが変わることがあります。
本人が「学校には行きたい」と思っているのであれば、何が学校へ行くことを難しくしているのか、どのような形なら近づけそうかを一緒に整理していく考え方があります。
一方で、本人が現在「学校には行きたくない」と考えているなら、最初から登校だけをゴールにしなくても良いでしょう。
まずは家で何ができるかを考える。
そこから次の一歩を探します。
学校へ行かないなら「家で何ができるか」から考える
家でできることを考えるとき、いきなり「勉強しよう」と決める必要はありません。
まず、
「将来、何かしてみたいことはある?」
「今、自分がしてみたいことはある?」
といったところから、本人が動く理由になるものがあるかを考えます。
やりたいことが見つかれば、それにつながる今の行動を考えていくことができます。
たとえば、「将来こういうことをしてみたい」と思ったときに学習が必要になるなら、その目標に向けて家でできることを整理していく、という進め方もあります。
今はやりたいことがなくても大丈夫
「将来したいことを聞いても、特にないと言われました」
そんな場合もあります。
今すぐ目標を作らなくても良いと考えています。
いつか本人に目標ができたとき、その選択肢を広げられるように、今できることから始める。
生活のことかもしれませんし、好きなことを続けることかもしれません。学習に取り組めそうであれば、自宅で少しずつ学習を始める方法もあります。
学校へ戻ることだけを基準にせず、その子がこれから何をしたいと思ったときに動ける状態を作っておくことも、一つの考え方です。
不登校期間の学習については、
「不登校で遅れた勉強に追いつくには? 学び直しの進め方と親ができること【中学生】」
でも詳しく紹介しています。
「何と呼ぶか」より、お子さまの今を見る
「不登校」「五月雨登校」「行き渋り」。
言葉を知ることで、お子さまの状況を整理しやすくなることはあります。
ただ、どの言葉に当てはまるかが分かれば、対応の正解も決まるわけではありません。
普段本人がその言葉をどのくらい耳にしているのか。本人自身は今の状態をどう捉えているのか。そして、登校頻度や生活、学習、親子の会話、本人の気持ちはどうなっているのか。
一つずつ見ながら考えていくことが大切です。
そして、その先では「本人は学校に行きたいと思っているのか」も確認してみてください。
学校へ行きたいのであれば、そのための一歩を考える。今は行きたくないのであれば、家でできることから考える。
今は目標が見つからなくても、いつかやりたいことができたときのために、今できることから始める方法もあります。
Preステップオンラインでは、言葉だけでお子さまを判断するのではなく、一人ひとりの今の状態と気持ちを確認しながら、その子にあった次の一歩を一緒に考えることを大切にしています。
お子さまへの関わり方に迷っている親御さまへ
Preステップオンラインが、お子さまとのコミュニケーションや学習で大切にしている考え方をご紹介しています。
原 匠(はら たくみ)
Preステップオンライン 統括責任者。15年以上にわたり、不登校や行き渋り、発達特性、完璧主義などによる学習の悩みを抱える多くのお子さまとその親御さまのサポートに携わる。教育のプロとして、単なる知識の詰め込みではない「失敗を歓迎し、一人ひとりの安心できる場所となるコミュニケーション重視の家庭学習システム」を提唱し、数多くの家庭の悩みを解決に導いている。